労働組合の中央組織・連合と経団連の労使トップ会談が22日、東京都内であり、今年の春闘が事実上スタートした。歴史的な物価高を受けて高水準となった賃上げ交渉は3年目を迎える。労使ともに賃上げの「定着」を訴える展開で、中小企業に賃上げが広がるかが焦点となる。

 この日の会談で、連合の芳野友子会長は「今年は新たなステージを定着させる年だ。賃金、経済、物価を安定した巡航軌道にのせる春闘にしていきたい」と語った。経団連の十倉雅和会長も「賃上げのモメンタム(勢い)を定着させる年にしなければならない。ベースアップ(ベア)を念頭に置いた検討を呼びかけ、全力で取り組む」と話した。

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25年春闘をめぐる発言

 両者ともに「(労使の)認識は一致している」とも強調。背景には、物価が下がり続けるデフレからの脱却を確実にし、「賃金と物価の好循環が始まるのを確信できる年にしたい」(十倉会長)との思いがある。

 経団連は今春闘の経営側の指針となる「経営労働政策特別委員会(経労委)報告」で、様々な賃上げ手段の中でも賃金体系を底上げするベアの優先的な検討を求めた。大手を中心に高い賃上げで機運の維持をはかる。

「過熱」への警戒も

 ベアについて、労組側の要求…

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